5月26日(火) 00:00
◇「経済」という言葉は、「経世済民」から来ています。「世の中を治め、人民の苦しみを救う」と広辞苑にあります。明治以降、「経済」と訳されたエコノミーは、語源のギリシャ語では「家の管理」、ひいては「共同体の在り方」を示すそうです。経済とは、利己的な金もうけ、利益の確保とは違う、本来は人を幸せにする仕組みを追求するものなのです。
◇改めてこんなことを書くのもここ何年かの経済の動向が、本来の意味から遠く離れていると思わざるを得ないからです。市場原理は新自由主義とグローバリズムという"美名"のもとに世界中を呑み込み、格差は拡大するばかり。金融資本主義は簡単に国境を越え、環境破壊にも歯止めがかかりそうもありません。
◇評判になったロバート・ライシュ著「暴走する資本主義」、中谷巌著「資本主義はなぜ自壊したのか」などが、のたうつような世界経済の様相を描いています。そして昨年のリーマン・ショックに端を発した100年に一度といわれる金融危機、経済危機。これは「経世済民の危機」と言い換えたほうが分かりやすいようです。
◇毎週水曜日のKCTワイドで「大原總一郎生誕100年企画」がスタートしました。関係の深かった人やゆかりの土地を訪ね、倉敷が生んだ稀有な実業家、文化人の業績や人物像、その哲学、思想に迫ろうというものです。大原さんの企業活動を支えた信念をはじめ、自然との交信と環境保全、豊かな文化的見識、町並み保存、中央と地方の関係など、その先見性には驚かざるを得ません。
◇亡くなって40年以上経つのに、残された言葉の数々は、今の時代を厳しく戒め、私たちを強く励ましてくれるようです。大原さんとともに「経世済民」の本来の意味を問い直していきたいと思っています。