6月13日(日) 00:00
◆「コウノトリが倉敷で目撃された」。ニュースが流れたのは一昨年の秋だった。足に付けた目印から兵庫県の豊岡市にある「コウノトリの郷公園」で育ち、放されて飛んできたということだった。倉敷コウノトリの会によると、その時は半月ほど、昨年の冬は約2カ月、夏からは半年近く倉敷にいたという。
◆鷲羽山ビジターセンターで開かれた「コウノトリ写真展」は、倉敷の会員が昨年夏から半年にわたって撮影したものだそうだ。写真展の模様は、先日のKCTワイドのニュースでも取り上げた。コウノトリが日本の空から消えたとされるのが39年前。25年前に旧ソ連から譲り受けた6羽の野生の幼鳥の飼育から始まった保護増殖事業が、着実に進んでいることを、倉敷で実感できる写真の数々だった。
◆特別に野鳥に興味があるわけでもないし、倉敷でコウノトリを探す根気も自分にはない。だが、ニュースを見ながら、ぜひ一度コウノトリの飛ぶ姿を見ておきたい、その故郷を訪ねたいという気持ちがフツフツと沸いて来た。羽を広げた優雅な姿と、コウノトリという気品を感じさせる響きに興味をそそられたからだろうか。
◆山陽道から播但道に入り、兵庫県の日本海側に位置する豊岡までは3時間と少し。「コウノトリの郷公園」は、三方を山に囲まれた、いかにも日本の里山というような風景の中にあった。車を降りて公園入り口のコウノトリ文化館に入ろうとした時だった。上空から歓迎してくれるように1羽のコウノトリが、大きく羽を広げてふわりと現れた。人の気配も気にせず、まさに悠然とである。
◆現在、野生と飼育中のあわせて134羽が確認されており、2005年以降、自然界には14羽放されたそうだ。係員が「現在、宮城県と福井県、それにお隣の岡山県で生息の報告があります」と、説明してくれた。目を転じると、田植えが済んだばかりの水田で1羽のコウノトリが餌をついばんでいる姿が見えた。倉敷のコウノトリの故郷は、日本の原風景の中にあった。