12月1日(火) 00:00
◆12月1日は「映画の日」である。今から113年前の1896年の11月末、神戸で日本で初めて映画が一般公開されたのを記念して制定された。もっともこの時の映画はスクリーンに映写されたものではなく、一人ずつ箱の中を覗き込むキネトスコープと呼ぶものだったそうだ。
◆映画の日にちなんだわけでもないが、熱烈な映画マニアでも知られるクエンティン・タランティーノ監督の新作「イングロリアス・バスターズ」を見た。ナチ占領下のフランスを舞台にした戦争映画である。タイトルが始まると、何と1960年の米映画「アラモ」の哀感漂うテーマ曲「遥かなるアラモ」が流れ始めるではないか。
◆またまたオールドファンの気分は、タランティーノ監督にわしづかみにされてしまった。古い映画の引用からオマージュ、パロディは、監督のお手の物だ。それも名作映画というのではなく、B級と呼ばれた映画をタランティーノ流に処理するのが、ファンにはたまらない。
◆テーマ曲が使われた「アラモ」を私が見たのは、高校時代のふるさと・因島の映画館だった。当時、4万2千人余りの人口に7館あった映画館は、いまやゼロ。時代はシネコン(複合映画館)に移り、地方から次々と映画館が消えている。倉敷市も4年前に、倉敷東映を最後に街の映画館はなくなった。
◆岡山や倉敷とその近郊はともかく、県北や島など映画館のない土地の子ども達は、スクリーンで映画を見る機会がなくなっている。日常の部屋の中で今を伝えるテレビもいいのだが、非日常の暗闇の中で大スクリーンに向かい合う経験を持ってほしいのだが…。タランティーノ監督の豊富な映画体験がほとばしるような画面を見終わった帰り道で、そんなことも頭に浮かんできた。