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26   「今」を問う大原總一郎企画

12月28日(月) 00:00

◆KCTが年間重点企画として取り組んできた「大原總一郎生誕100年記念シリーズ」が終わった。1部と2部の28タイトル、1回が10分前後で放送時間は合わせて6時間近くになった。年間を通して一つのテーマにこれだけ取り組めたのもCATVなればこそと、改めて加入者、視聴者の方々に感謝である。

◆總一郎氏が亡くなって41年になる。生誕100年の節目を制作のきっかけにしたとはいえ、回が進むにつれ「今やって良かった」「今やっておかねば」との思いが強くなってきたのも事実だ。何といっても41年という時間は長い。その昔は、日々はるか遠ざかっていく。幸い倉敷に限らず、東京、富山、沖縄、神戸など、各地、各方面からたくさんの貴重な証言をいただき、記録としても残すことが出来た。

◆取材、制作に当たったのは、いずれも總一郎氏没後に生まれた若いスタッフ達である。巨大な孫三郎の陰で「名前は聞いたことがある」程度でスタートしたスタッフもいたが、地道な取材を重ねるうち新しい発見を次々と知らせてくれた。思い出話だけではない。神戸大の平野恭平准教授による「ビニロン開発の功績」など、若い学者による總一郎氏の歴史的位置付けも進んでいる。

◆テレビでありながら「動く總一郎氏」がなかった点も、12月17日と18日の2回にわたって放送した「總一郎と鷹」で解消した。日本ワシタカ研究センターの中島欣也顧問が提供してくれた8ミリ映画である。レトロな味のある8ミリ独特の映像が、タカと遊ぶ總一郎氏や大原美術館中庭での告別式の模様を再現してくれた。

◆全シリーズをこの年末年始に再放送する。インターネット会員の方は、動画でご覧いただける。DVD化も進めている。昨年のリーマン・ショックによる金融危機から不況に揺れ、格差拡大、余裕を無くしたかの社会、夢を持ちにくい若者達、地方の疲弊など、政権交代後も閉塞感をぬぐいきれなかった2009年。總一郎氏の生きた道を追ったのは、決して回顧ではなく、「今」に問いかけるものであったと振り返っている。