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33   わらび座の原点を見る

3月19日(金) 00:00

◆7年ほど前だったが、公演の日の劇団の動きを1日取材させてもらったことがある。劇団は、秋田県の田沢湖近くに本拠を置く「わらび座」。上演するのは如月小春作のミュージカル「テンテン天まで飛んでいけ!」だった。俳優は5人で、スタッフは音響と照明だけの、合わせて7人の少人数編成である。内部を改造した1台のバンに、舞台セット、音響、照明機器を詰め込み、もう1台の乗用車と共に、全国を公演して回っているのだ。

◆会場は倉敷公民館だった。大ホールは2階。演じる側にはエレベーターのない2階は、難敵なのだ。午前9時前、入念に体操をした後、荷降ろしと舞台づくりが始まった。この日は、倉敷に招いた公演実行委員会の助けがあって、重い音響機器や舞台装置を短時間で2階まで運び上げたが、実行委メンバーはかなりこたえた人もいたようだった。

◆俳優たちは休む間もなく、ランニングを始める。寒い日だったので外はあきらめて、舞台や客席の間を走ること、およそ30分。続いては銘銘が壁や床に向かって、発声練習だ。台詞や歌、早口言葉などさまざまだが、腹の底から声を出し続けているという印象だった。この後、音響や照明も入って、パートごとの音あわせや台詞回しの確認作業が続いた。

◆やっと昼食、と思いきや、何人かは納得がいかないのか、楽器や振りの練習を続けている。午後2時開演の30分前までは体を動かし続けていたようだ。それがプロといってしまえばそれまでなのだが、取材させてもらっている方が、本番を前にグッタリという凄みが伝わってきた。民舞をはじめ、歌唱、楽器演奏、演技と、日ごろからどれだけ鍛えているのだろうか。その積み重ねは、とても素人には想像できなかった。

◆20日から倉敷音楽祭「北東北交流フェスティバル」が始まる。メーンは、わらび座による「北東北歌舞集―四季の詩」だ。わらび座といえば、近年はミュージカルで広く知られている。その舞台には、土に生きてきた日本人の独特のリズムが流れている、との評判だ。「四季の詩」では、わらび座の原点である、民舞、民謡が堪能できるはずだ。7年前に取材させてもらった「テンテン」の主演女優さんも出演している。