9月16日(水) 10:41
◇初めて大原美術館に入ったのは、中学1年生の時でした。今からほぼ50年前、絵が好きだった母に連れられて行ったことを覚えています。その時に美術館で受けた強い印象は、いまも鮮明に残っているのです。
◇窓のない土壁の蔵ばかりが続く細い道を歩いた先に、その美術館はありました。「美観地区」という呼称も、「白壁の町」という愛称もなかったころです。全国的な観光地になるのはまだまだ先のことだったようで、人影もまばらな、色のない寂しい町というのが偽らざるところでした。
◇そんな町の中で出合った色彩豊かな絵の数々…。「どうしてあの絵がこんな田舎にあるのだろう」。美術の教科書や学校の図書館の美術全集で見たことのあるような名画の数々がそこにはあったのです。それも1点や2点ではないのです。絵の価値など分からない中学1年生でも「なぜ倉敷に」と、不思議な気持ちになったものでした。
◇40年近く前に倉敷市民となってからは、何度足を運んだことでしょう。「きょうは『棟方志功』だけ見よう」「フォンタナ『空間概念 期待』の日に」。そういった贅沢な楽しみ方が出来たのも、地元の美術館ならではのことでした。遠くからの来客があると、まず案内するのが「大原」でした。
◇その大原美術館で現在、大原總一郎生誕100年記念展「大原總一郎の美術館創造」が開かれています。戦後の美術館の発展に力を注いだ總一郎の収集作品が、年代順に展示されています。何度も見てきた作品ばかりなのですが、改めてその凄さに新鮮な感動を受けました。初めて作品に向き合った時の「収集家の眼」を意識しながら見たせいかもしれません。その収集家「大原總一郎生誕100年特別企画シリーズ」の第2部は、10月1日からのKCTワイドで毎週木曜日に放送します。