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立石おじさん おかやまの昔話

【第98話】 竜宮馬

あるところに、貧乏な貧乏な家があおって、おかあさんと息子の二人暮らしをしとったそうな、おかあさんと息子は、炭を焼いて、それを背中に背負うて海の近くの町まで売りにいって、その売ったお金でお米を買うたり、麦を買うたりして、どうにか暮らしておったんじゃな。ところがあるときにおかあさんが病気でたおれてしもうた。息子が一人で、荷を背負うて、町に持って行く、じゃけど、二人分だけの炭を背負うていくわけにいかんから、金も半分しか入らん。その上におかあさんの病気の薬も買わにゃーいけん。ま、どうにか、こうにか食えるか食えんか、もう貧乏のどん底の暮らしをしとったんじゃな。ある日町に炭を持って行って売って、わずかばっかしのお金をもろうて帰っておったところが、五、六人の男の子たちがわいわいわい騒いどる。何をしとんかなと思ったら、大きなカメを捕まえて、棒でたたいたり、石を投げつけたり、悪いことをしとった。「こりゃ、こりゃ、カメをそんなにいじめるもんじゃない。かわいそうじゃないか」「いやー、ちがうで、わしらが捕まえたんじゃから、たたこうと殺そうと、自由じゃがな」「そういうもんじゃない。カメがかわいそうじゃが、許しちゃれ」「許すわけにゃーいかん。わしらが捕まえたもんじゃ」「じゃったらな、そのカメをおじさんに売ってくれんかな」「そりゃーお金をくれるんじゃったら売ってあげるでー」「そうか、ほんならな」その息子は、きょう、炭を売ったわずかばっかしのお金をこれをやるから、そのカメを売ってくれんか」言ったら子どもたちは、「お金をくれるんじゃったら、なんぼでも売ってやろう」いうんで、カメを残して、お金をもって逃げていったんじゃな。息子がな、「こりゃ、こりゃ、こねえなところへ出てくるから捕まるんじゃ、けっしてこんなところに出てくるんじゃないぞ。ちゃんと帰れーよ」いって海の近くまで連れていって逃がしてやったんじゃな。カメは、うしろを何回も何回も振り返りながら、海の底に沈んでいったんじゃな。その晩、息子が寝とったら、表の戸を、トントントーン、トントントーン、たたく音がする。夜中に誰かなーと思って、息子が起きて表の戸を開けてみたら、きれいな娘が立派な馬をおうてきとった。「いやーすみません」「どうしたんなら、こんな夜中に、この夜中に何の用事があってきたんなら」「いや、実は、わたしは、きょう昼、助けていただいたカメでございます。お礼がしたいんで、この馬に乗ってわたしについてきてください」そういうたもんじゃから、息子は、「まあ、ほんなら行ってみゅーか」ということで、馬に乗って、娘がひく馬に乗て連れられて行ったんじゃ。馬は、海の中にどんどんどんどん入っていった。そうしてしばらく行くと、向こうに立派な御殿が見える。「これが竜宮城でございます」綺麗な女の人が出迎えてくれる。中に入ったら、乙姫様というのが、「いやいや、たいへんお世話になりまして、ありがとうございました。きのう助けていただいたカメは、私の娘でございます。本当にありがとうございます。おそまつなもんですけど、どうぞ食べてください」もうこれまで見たこともないようなごちそうが、ずらーと並べられて、踊りをしたり、芝居をしたり、もう、その息子は、ごちそうを食べて、一日楽しんだんじゃな。「いやいや、ながいをしたから、ぼつぼつ帰らしてもらいましょう」「そうですか、もっとおってくだささりゃーよろしいのに、お帰りになられるんでしたら、何でもみやげを差し上げますから、どうぞおっしゃってください」「いやいや、何にもいりません」「遠慮せずに言ってください。なんでも差し上げますから」「いやもう、みやげどころか、これだけごちそうになったら十分じゃ」「ま、そういわずに、一つでもいいから、何か持って帰ってつかあさい」「そうか、それまでおっしゃるんじゃったら、来る時に乗ったあの馬をくださらんか」「いや、それは、差し上げます」息子は、その馬に乗って、家に帰ってきたんじゃな。それから、その馬に炭を乗せて、町に売りに行く。人の背中に背負うより何倍もの炭を運ぶことができるから少しずつ金が貯まっていって、お母さん薬を飲ませて、そうしてお母さんも喜んでおったんじゃな。ある日、町に行って帰りがけに峠を越えて帰るのに、頂上まで帰ってきたときに、馬が尻尾を上げる。「ありゃりゃ、こりゃ、糞をするんかな」と思っておったら、チャリチャリチャリーン、金貨を五枚も六枚もひった。「ありゃりゃ、こりゃ金貨じゃ」息子はそれを拾うて帰って、そうして、お米を買ったり、薬を買ったりして、お母さんに飲ました。次の日も、峠の頂上まで帰ってくると、尻尾をあげて、チャリチャリチャリーン、毎日毎日、金貨を五枚も六枚もうむもんじゃから、だんだんだんだん金が貯まって、分限者になった。お母さんもごちそうを食べて、そうして、薬を飲んで、もとのよう元気になったんじゃな。それまで貧乏人だったが急に金持ちになったもんじゃから、隣の人が、「あそこは、どうしてじゃろうかな」いうことで、聞いてみると、馬が金貨を出しているということを聞いたもんじゃから、そこの家にいって、「あ、すまんけど、あんたそこの馬を2、3日貸してくれんかな」いってきた。それで、「それだったら、まあ、貸してあげますらー」いうことでかって帰ったんじゃな。たくさんの金貨をうまそうと思って、麦をたくさん食べさせて、町に行ってかえりかけに峠の頂上にきたら、尻尾をあげたから金貨をうむとおもうて、大きな袋をうけとったら、ボタボタボター大きな糞をひった。「このやろう、金貨を産まずに、麦を食わしたのに」その馬をたたき殺してしもうたんじゃな。馬を返してくれんもんじゃから、息子は、取りにいったところが、「おまえの馬は、極道馬じゃ、殺してしもうた」いわれたもんじゃから、息子は、その死んだ馬を連れて帰って、庭の先に埋めて墓を作って、毎日拝んでおった。墓の頂上に一本の小さな小さな木が生えてきた。そのうちにみつまたになってぐんぐんぐんぐん大きくなった。夏になると、葉を咲かせて、秋になったら実がなった。そうしたかと思ったら、その実は、金貨で風がサーッと吹くことにチャリンチャリンチャリン、サーッと吹くことに、チャリンチャリンチャリン、金貨が落ちて、その家は、ますます、長者になっていったんじゃって、それから、「家の背戸のみつまた榎、木の実ならいで、かねがなる」という歌ができたんじゃって。昔こっぷり。

最終更新日: 2012年4月26日(木) 16:51 担当者: 中塚美佐子

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