高梁川が流れる倉敷市酒津地区の堤防を強化する事業が今年度から始まります。
工事では、国の重要文化財である酒津取水樋門の移設改修が必要となるため、どのように対応するか検討する会議が開かれました。
岡山河川事務所が設けた検討会の委員には、河川や文化財などに詳しい学識経験者5人が委嘱され、きょう(4日)1回目の会合を開きました。
今年度から高梁川の堤防強化工事に取り掛かる範囲は、倉敷市酒津の山陽自動車道の橋脚から下流へおよそ2kmの区間です。
酒津地区の堤防は、およそ100年前に東高梁川が締め切られた場所で、湾曲していることもあり、水の流れが速くなっています。
6年前の西日本豪雨では、酒津の観測水位が氾濫危険水位に達し、市街地に水が流れ込む一歩手前の危険な状況でした。
小田川合流点の付け替えは今年3月に完了しましたが、次に洪水の可能性が高い場所として酒津地区が挙げられていて、国が今年度から予算を計上して事業をスタートさせました。
酒津地区の堤防を強化する工事の範囲には、高梁川の水を取り込み市内各地へ水を送る酒津取水樋門が含まれています。
この樋門は、東西高梁川を一本化した工事に合わせ、東高梁川を締め切った場所に整備されました。
1922年に建設されたもので、国の重要文化財に指定されています。
改修や移設などを行うには文化庁の許可が必要です。
どのように取り扱うかの検討を前に、学識経験のある委員が樋門の表側と裏側を見て回り、事務局の河川事務所職員などと意見交換しました。
岡山河川事務所では、検討会を7月下旬までに2回ほど開き、酒津取水樋門の移設改修をどのように行うか方向性を定めていくとしています。