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立石おじさん おかやまの昔話

【第94話】 タニシ息子

なんと、昔があったそうな。あるところに、おじいさんとおばあさんとおって、子どもがおらなんだそうな。おじいさんとおばあさんは、だんだんだんだんと年をとるにしたごうて、「やあ、こどもがほしいなあ、こどもがおりゃあええのになあ」ゆーて話をしょーた。そうして、おじいさんとおばあさんは、氏神さまに、子授けをお願いしーということになって、21日の願掛けをしたんじゃな。そうして、21日間、朝早うに、氏神さまに参って「どうぞ、子どもを授けてください。どうぞ、子どもを授けてください」そう言ってお願いしたんじゃな。21日の満願の日。「どうぞ、子どもを授けてください」拝んで、家に帰っておると、途中で、「おじいさん、おばあさん、おじいさん、おばあさん」という声が聞こえる。「あれ、誰かな」と思って、振り向いて見たけれど、誰もおらん。「空耳じゃったかな」思うとったらまた、「おじいさん、おばあさん、おじいさん、おばあさん」という声が聞こえる。見たら田んぼの方でじゃ。「誰かおるかな」と思っても誰もおらん。「おじいさん、おばあさん」声のする方に行ってみたら、大きなタニシ、タニシが声をかけとったんじゃ。「ありゃりゃー、こりゃー、ものを言うタニシじゃ。こりゃー、神様がわしらに授けてくださった子どもじゃ」ゆーことで、おじいさんとおばあさんは、その大きなタニシを懐の中に入れて、もって帰ったんじゃな。そうして、帰って神棚に大きな器に水を入れてその中にタニシを入れて、毎日ごはんをやって、やしのーとったんじゃ。三年経ち、五年経ち、七年経っても、タニシは、タニシの大きさのま、毎日ごはんをやっているのに、一向に大きくならん。ある秋のこと、おじいさんが、長者のところに、年貢の米を納めんといけん。「いやー、きょうは、長者さんに年貢米を納めんといけんな。いやもう、年をとって、長者のところに行くのが大儀じゃあ。いや、子どもがおってくれりゃあ、子どもがやってくれるのにのう」そう言って話をしておったところが、神棚に供えてあるタニシが、「わたしが、長者さんのところに年貢をもっていきましょうか」いう。「なんで、おまえが、馬を追うて行くことができるもんか」「いやいや、、行けます」そうゆーもんじゃから、おじいいさんとおばあさんは、馬の背中に二表の米俵をつけて、そうして、タニシを鞍のところに乗してやったんじゃ。そうしたら鞍の上に乗ったタニシが、「ハイードードー、ハイードードー」ええ声をして馬を追うて行きだした。そのうちにええ声で、馬追い唄を歌いながら、どんどん、どんどん、行くんじゃ。長者さんの家に着いたところが、「爺と婆の年貢を持ってまいりました。納めてください」いう声がする。長者の家のものが出てきたら、馬に米をつけてやってきとるが、人がおらん。「おい、どこにあるんなら」「ここです。」「ここですいうて、どこなら」「ここです」ここですというところに行ってみたら、鞍のところに、大きなタニシが一つおる。「ありゃあ、こりゃあ、物を言うタニシじゃ。」みんな珍しがって、鞍のところから、タニシを取って家の中に入った。そうしたら、家中の人が出てきて「ありゃあ、こりゃあ物を言うタニシじゃ。物を言うタニシじゃ。可愛いかわいい」ゆーて、もて遊んどった。きれいな三人の娘も出てきて、「こりゃー、珍しい、珍しい」ゆーて、そのタニシを相手にして遊どったんじゃな。そうしたところがその三人のうち、一番きれいな娘の袖にタニシがくっついた。食いついて離れんようになってしもうた。最初のうちは、遊んどった娘たちも、袖から、たぬきが離れんもんじゃから、「こりゃあ、困ったな、タニシが離れん、離れん」夜になってしょうがないもんじゃからその娘は、タニシと一緒に寝たんじゃな。次の朝になってもタニシは、離れん、もう困ってしもうて、わんわん、泣き出した。そうしたら、お父さんとお母さんがやって来て、「どうしたことなら、タニシが袖にくっついて離れんのじゃ。」「そうか、おまえは、このタニシに見初められた。見初められた以上、お前はタニシの嫁にならんといけん。「いやいや、わたしは、タニシの嫁なんかにならん」「でも、タニシでもなんでも見初められたら娘は、嫁にいかんといけんのじゃ。おまえは、タニシの嫁になっていかんとしょうがない」「いかん、いかん」言ったけど、とうとう見初められたんじゃから、嫁になって行くことになったんじゃ。「なんでも、おまえの望のものをやるから、それをもって行け」「だったら、宝の打ち出の小槌をください」親もな、タニシの嫁になるんじゃから、しようがないとおもって、その家の宝の打ち出の小槌をもたして、そうして、娘は、馬に乗ってタニシを抱いて、そうして、「ハイー、ドードー、ハイードードー」いって帰っていったんじゃ。「おじいさん、おばあさん、帰ってきたぞ」「いや、よう年貢を納めて帰ってきたなあ」そういって、外に出てみたら、きれいな娘さんが、馬の背中に乗ってる。「ありゃりゃ、こりゃあ、どうしたんなら」「いや、わたしが、ここの嫁になりますので、よろしくお願いします」そういって、タニシと娘が家に入ったんじゃな。そうして、何日か暮らすうちに、タニシが娘に言うたんじゃ。「わたしを、石の上に乗せてこの打ち出の小槌で、『五尺三寸のええ男になれー』ゆーてたたいてください」「いやいや、たたいたら、あなたがつぶれて死んでしまうから、そんことはよーしない」「たたいてください。どんなことになってもいいから、たたいてください」言うもじゃから、娘もタニシに負けて、石の上にタニシを置いて打ち出の小槌で「五尺三寸のええ男になれー」バンとたたいた。ガシャンという音がした。「タニシがつぶれた」つむておいた目をそうと開くと、そこには、見事な若い青年が立っておったんじゃ。きれいなええ男じゃあ。娘は、ひと目ぼれをした。そうして、そのタニシの息子とその娘は、一生しあわせに暮らしたんじゃって。昔こっぷり、とびのくそ。

最終更新日: 2012年4月26日(木) 15:36 担当者: 中塚美佐子

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