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立石おじさん おかやまの昔話

【第95話】 ネズミの杵

なんと昔があったそうな。あるところに、おじいさんとおばあさんとおって、おじいさんは、毎日、おばあさんの作ったむすびをもって、山に木をこりに行っとったそうな。ある日山に木をこりに行って、仕事をして、昼になったもんじゃから、「じゃあ弁当でも食おーか」ゆーて、むすびを出して、むすびを食おーとしたところが、むすびが手から離れてコロコロコローッと転がっていったそうな。「こりゃあ、むすびが転んだ。たいへんだ」と思って、おじいさんは、「むーすび、むーすび、まーて待―て、むーすび、むーすび、まーて待て」言って、追われていっても、むすびは、コロコロ、コロコロ、コロコロ転がって、下の方に行く。「むーすび、むーすび、まーて待て、むーすび、むーすび、まーて待て」追いかけていったら、穴があって、穴の中に、むすびがコロコロコローと転がりこんでしもうた。見りゃあ、ネズミの穴じゃ。おじいさんは、むすびがもったいないもんじゃから、その穴の中にコロッと転がり込んで、「むーすび、むーすび、まーて待て、むーすび、むーすび、まーて待て」転がっていったら、ドッシンと下に落ちた。落ちたところを見たら、あたりは、広いところじゃ。「ありゃありゃ、こりゃあ、広いところがあるなー」と思うたら、向こうの方から歌が聞こえてくる。何の歌かなあと思って、近づいてみたら、大きな家から歌が聞こえてくる。「ネコさえござらにゃ、ネズミの世盛り、チンカラコン、チンカラコン。ネコさえござらにゃ、ネズミの世盛り、チンカラコン、チンカラコン。」歌が聞こえる。「ありゃあ」と思うて、おじいさんは、その家にいってのぞいて見たら、ネズミが餅をついとる。「ネコさえござらにゃ、ネズミの世盛り、チンカラコン、チンカラコン」餅をついとんじゃな。「ありゃ、餅をついとるぞ」と思うたら、しばらくしたら「お米でえーでえ、チンカラコン、チンカラコン」いったら。米がザラザラザラッーと臼の中から出てくる。「お金、でえーでー、チンカラコン、チンカラコン」ザラザラッーと今度は、お金が出てくる。「ありゃ、ええなあ」とおじいさんが見とって「そうじゃ、ネコされござらにゃ言うから、ネコの鳴き真似をしてみちゃろ」と思うて、「ニャオ~ン」鳴き声をしたら、ネズミたちが、「そりゃ、ネコがやって来た、隠れ!」みんな隠れたんじゃ。臼も杵もお金もお米も、全部ほっちらかして、隠れたもんじゃから、そこにおじいさんが入ってきて、お金を全部拾うて、ついでに杵も持って家に帰ってきたんじゃな。家に帰って「おばあさん、きょうは、山に木こりに行っとったら、えー事があったぞ。見てみー、こねんよーけいお金をもろうてきたぞ。それにな、何でも出てくる杵らしい、ええ物をもろうてきた」「いや、おじいさん、こりゃあ、よーけのお金じゃ。きょうどお米が無かったから、これから;米をこうてくらー、ついで魚もこうてくらー」お米を買ってきて、お魚を買ってきて、その晩には、ごっつおうして食べたんじゃあな。おじいさんとおばあさんは、それで安楽に暮らしとった。そのうちにまた、お米がのうなったんもんじゃから、「じゃあ、この杵で、お米を出してみゆじゃねえか」言って、臼を杵でつきながら「お米でえーでー、チンカラコン、チンカラコン」ついたら、ザラザラザラッーと米が出てくる。「ありゃ、ほんとうに、この杵でお米が出とる。こんだーお金も出してー」「お金、でえーでー、チンカラコン、チンカラコン」ザリザリザリャ~ンとお金が出てきた。おじいさんと、おばあさんは、喜んで、お魚がほしい時には、「お魚でえーでーチンカラコン、チンカラコン」とつき、着物がほしいときには、「着物でえーでー、チンカラコン」とついて出して、豊かな暮らしがはじまったんじゃな。そのうちに、暮らしの方が、、大丈夫だけど、家は、ボロで雨漏りがして風も入って、寒むーてしようがない。「そうじゃ、家も出るじゃろうか」といことで、「お家、でえーでーチンカラコン、チンカラコン」とついたら、立派な家が出てきた。「いや、こりゃあ、ありがたい立派な家が出てきたでえ」ということで、おじいさんとおばあさんは、安気に暮らしとったじゃあな。そうしたら、隣のおじいさんとおばあさん、「あそこにゃあ、うちと同じように貧乏じゃったのにいっぺんに金持ちになったぞ」思うて、おばあさんがやってきて聞いたんじゃ。そうしたら、その金持ちになったおばあさんが「実は、こうこうで、山に行って、そうして、杵をもろうてきたおかげなんじゃ」ゆーたら、「ほんなら」とゆーことで、おばあさん、さっそく帰って、「おじいさん、おじいさん明日、山に木をこりにいきんさい、むすびを作ってあげるから」いうことで、次の日に、おじいさんは、おばあさんの作ったむすびを持って山に行ったんじゃ。山に行っても仕事もせんで、木の切り株に腰をかけて休んどった。「もう昼になる時分じゃ。お腹がすいたから、むすびでも食おうか」ほどいて、むすびを食おーとしたけど、むすびはいっこうに転がらん。「こりゃー、転がらにゃいけんのじゃ」転がしちゃろーと思うて、むすびをコロコロッと転がしたら、コロコロと転んでいったかと思ったら、すぐに木の株にコロッとひっかかる。またコロ~ンと転がしたら、また木の株にひっかかる。なんぼう転がしても木の株にひっかかってコロコロ転ばん。「弱ったな、ネズミの穴は、どこにあるかな」探してみたら、ちょうどいいぐあいに、ネズミの穴があったもんじゃから、そん中にむすびをゴロゴロッと転がして、そのあとを、となりのおじいさん、「むーすび、むーすび、まーて待て」いうて転がっていったんじゃな。そうしたら、中に入ったら、中は広いんじゃ。聞いたとおりに、向こうから歌が聞こえてくる。「ネコさえ、ござらにゃ、ネズミの世盛り、チンカラコン、チンカラコン」おじいさんが行ってみたら、餅をついとる。「これじゃ、これを持ってかえりゃあええんじゃ」と思うて、となりのおじいさん、ネコの鳴き真似をしちゃろうと思うて、「ニャオ、ニャオ、ニャオ~ン」言ったら、「そりゃあ、このまえのどろぼうじじいがやってきた、やっつけえ!」といことで、ネズミたちが、杵を持ったり、棒を持ったり、かいたり、かみついたりして、そのおじいさんは、全身キズだらけなって、やっとのことで帰ってきたんじゃって。あんまり、人真似をしたんじゃ、えーことにならんのじゃって、昔こっぷり、とびのくそ。

最終更新日: 2012年4月26日(木) 15:44 担当者: 中塚美佐子

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