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立石おじさん おかやまの昔話

【第92話】 ショウトの鬼退治

昔な、ショウトがお地蔵さんの肩の上に巣を作ってな、卵を産んで何日も何日も温めたんじゃな。そうしたら三羽の可愛いヒナが生まれてきた。おかあさんは、ヒナにエサをやらんといけんから、お地蔵さんに「お地蔵さん、お地蔵さん、これから、子どもエサを集めてきますから、ヒナの方を守をしとってくださいな」言って飛んで出たんじゃな。お地蔵さんが、ショウトのヒナの守をしとると、そうしたらそこに赤鬼がやってきた。「お地蔵さん、お地蔵さん、なんでもショウトにかわいい赤ちゃんが生まれたそうなんで、ちょっと見せていただけませんか」「いやいや、見せるわけにはいかん、おまえたちは何をするかわからんから」「いやいやいや、何にもすりゃあしません、ちょっとだけかわいい顔が見たいんです」「何にも悪いことをせんか」「絶対悪りことをしませんのんで、ちょっと見るだけですから」「じゃったら、ちょっと見るだけぞ」「わかっとります」言って赤鬼が、そのショウトの巣をのぞいて見た。「あ~かわいいなあ、これはかわいいなあ。ありゃ、このヒナは目がおかしいぞ」言ったかと思ったらペロッと食べて飛んで逃げてしもうたんじゃ。お地蔵さんは「いやあ、ちょっと気を許したばっかしに鬼に食べられてしもうた」と思うて残念がっておると、そこにこんどは青鬼がやってきたんじゃ。「お地蔵さん、お地蔵さん、ショウトがかわいいヒナ赤ちゃんを産んだそうで、ちょっとだけ見せていただけませんか」「見せん、見せん、さっき来た鬼がうまいことを言ってショウトを一羽食べてしもうた」「そりゃあ、どんな鬼ですりゃあ」「赤鬼じゃ」「ありゃあ、赤鬼かな、あの赤鬼いうのは、悪り鬼なんです。鬼の国でも一番あの鬼は悪いんです。ああいう悪りー鬼に見したら食べられます。わたしは、赤鬼じゃあなく、青鬼ですから心の優しい鬼で決して食べたりしません。ちょっとだけ見してください」「本当に食べたりせんな、見るだけぞ」「ええ、もう見るだけでよろしいから」青鬼は、のぞいて見て「あ~、かわいいなあ、かわいい顔をしとるの、ありゃあ、このヒナは、鼻がおかしいぞ」ペロッと食べてまた飛んで逃げでしもうたんじゃ。「ああ~、かわいいことをしたあ、二羽も食われてしもうた」思うとるところに、今度は黒鬼がやってきたんじゃ。「お地蔵さん、お地蔵さん、ここには、ショウトのかわいいあかちゃんが生まれてそうなんでちょっと見せていただけませんか」「見せん見せん、鬼には見せん」「鬼に見せんいうて、わたしは、何にもしませんから、いやいや、これまで二匹鬼がやってきて、二匹ともかわいいショウトを食べて逃げてしもうた」「そりゃ、どんな鬼ですりゃあ」「赤鬼と青鬼じゃ」「ありゃあ、赤鬼と青鬼かな、この二匹、こりゃあ鬼の国でも、もう一番悪りいやつなんです。あの赤鬼と青鬼が鬼の国におらなんだら、鬼の国は、平和になるんじゃけど、あの二匹がおるために、もう困ってしもうとる。わたしたち黒鬼は、こころが優しゅうていい鬼ばっかしなんです」「ちょっとだけ、顔を見せていただけませんか」「絶対食べたりせんな」「食べたりなんかするもんですか、気の弱い黒鬼なんですから、ちょっとかわいいショウトの赤ちゃんを見してほしいんです」「ちょっとだけぞ」「はい、わかっております。いや、かわいいなあ、これは、こんなかわいいの見たことがない、ありゃあ、こりゃあちょっと足がおかしいぞ」ペロッと食べて飛んで逃げていってしもうたんじゃな。お地蔵さんは三羽とも守をしとったのに食べられたもんじゃから泣いておったら、そこにお母さんが帰ってきたんじゃ。お地蔵さんから話を聞いて、「鬼のやつめ、どうしてもやっつけてやらんといけん、わたしの子どものあだ討ちをせんといけん」そう言ってショウトのお母さんは、団子を作ってそれをもって鬼を退治するために出かけて行ったんじゃな。パタパタパター、パタパタパターと飛んでいくと、向こうからドングリがコロコロコローンと転がってきて「ショウトどん、ショウトどん、どちらにおいでですりゃあ」「こどものあだ討ちで鬼退治に行く」「お腰のものは、何ですりゃあ」「日本一の団子じゃ」「ひとつつかあさいお供をします」「一つやるから供をせー」ということで、団子を一つもろうてコロコロコローンコロコロコローンとついていったんじゃな。また行くと、向こうからブーンブン、ブーンブンハチが家って来たんじゃ。「ショウトどん、ショウトどんどちらへお出ですか」「こどもの敵討ちで鬼退治に行く」「お腰のものは何ですか」「日本一の団子じゃ」「ひとつつかあさいお供をします」そう言ってひとつもろいてハチもブーンブンとついて行ったんじゃな。また行くと向こうからガッシャガシャカニがやって来た。カニもおなじように団子をもろうてガッシャガッシャとついて行ったじゃな。また行くと向こうから、ベッタリコ、ベッタリコ、ベッタリコ、ベッタリコ、牛の糞がやって来て、同じように団子をもろうてついて行ったんじゃ。また行くと向こうからコッテンコ、コッテンコ、コッテンコ、コッテンコと臼がやって来て、団子をもろうてついて行ったじゃ。みんなショウトどんいついて鬼が島に行って、そうして鬼の館に行ってみるところが、ちょうど鬼が留守じゃった。いまのうちに隠れとこうということで、ドングリは囲炉裏の中に隠れし、カニは水がめのところに隠れるし、ハチは障子のところに隠れる、牛の糞は玄関にベッタと横たわってるし、その上に臼が隠れておったじゃな。しばらくしたら鬼が「いやあ、きょうは寒い寒い。きょうは、寒い」言って帰ってきて、すぐに囲炉裏の間にいって火をボンボン、ボンボン燃やしだした。そうしたら灰の中に隠れとったドングリがパンとはじけて熱灰をバッと鬼にかけたもんじゃから、「やれ、熱い」水がめで手を洗おうと思ったらカニが手の先をガッシと挟んだもんじゃから「やれ、痛い」障子をあけて出ようと思ったら額ぶちをハチがブーンと刺した。「やれ、痛い」玄関から飛び出したら牛の糞でツルンと滑ってベタンと転んだんじゃ。その時に上に隠れとった臼がドシンと落ちて鬼はぺちゃんこになってしもうたんじゃって、ショウトはこどもの敵討ちをして鬼を退治したんじゃって、そうしてみんなに礼を言ってそれからショウトの親は安心して住むことができるようになったんじゃって。昔こっぷり、だいせん山のどびのくそ、ピンロロー、ピンロロー、ピンロロー。

最終更新日: 2012年4月26日(木) 15:13 担当者: 中塚美佐子

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