竹でつくられた机やいす、ユニークなデザインをしたインテリア雑貨。竹の特性を生かした品々が国内だけでなく、アメリカやイギリスなど海外でも反響を呼んでいます。実はここに竹の町・倉敷市真備町の家具製造メーカーの力があります。
中山社長「竹のいいところをどんどん引き出してやろう。国内だけでなく海外へも・・・」
倉敷市真備町服部にある家具製造メーカー「テオリ」。建築部材や家具部材の下請け企業として平成元年に創業しました。従業員は20人あまりと小さな工場ですが、オリジナル商品の開発をきっかけに世界へ羽ばたいています。
中山社長「ちょうど創業して10年経った頃にひとつの区切りとして自社商品をつくりたいということで始めた。工場が真備町にあるということで竹(真備の特産品)を生かして家具・雑貨を・・・」
現在、竹を使った商品の売り上げは、創業当時の下請け部門の割合を上回っています。自社商品の割合は年々増加し、年商は4億7千万円にのぼります。ここ最近の世界的な大不況により、下請け部門の受注は3分の1に激減していますが、会社の柱として成長した竹商品が下支えしています。
中山社長「今思うとこれがなかったら不況の影響で会社がなくなっていると思う」
竹の硬くて丈夫で弾力性に優れている点を生かして製作されたオリジナル家具・雑貨は現在、およそ100種類に及びます。この分野では国内トップシェアを誇り、その売り上げはおよそ1億円になります。テオリの竹商品は学校や図書館などの公共施設、さらには旅館やバーなどにも採用され、空間に彩りを添えています。今年1月にはフランスで開催された展示会で、初めて海外で独自のブースを設けたほか、洞爺湖サミットのゼロエミッションハウスで机といすが使用されるなど、近年、急速に海外からの評価も高まっています。
中山社長「海外の方は竹をご存知ない。バンブーという素材に興味を持たれて高い評価を得た。ヨーロッパも竹はないし、竹はエコということで注目を浴びている」
その評価を受けている点のひとつが竹の成長の早さにあります。現在の行き過ぎた伐採で森林面積が減少し、環境問題を引き起こしている中、中山社長は「竹は地球環境保全において大きな可能性を秘めている」と考えます。
中山社長「木材は家具にするには数十年必要。竹は成長が早くて使いやすい。永遠に絶えない素材」
そして、もうひとつの特徴がデザインです。
中山社長「見た感じ『あっ』と思うのはデザインだと思う」
テオリでは地元・岡山県立大学のデザイン学部と共同研究を行っており、卒業生のデザイナーや学生らとともに商品開発を行っています。その竹の特性を生かしたデザイン性は高く評価され、2006年度・2007年度のグッドデザイン賞を受賞、倉敷ブランドにも認定されています。
中山社長「デザインはこだわっていきたい。ひとつのインテリアとして生活空間のあらゆる場面に竹が使われるように品揃えをしていきたい」
テオリでは今年秋に向けて現在、家具・インテリア雑貨に続く新商品として、竹の皮からつくった塗料の販売を計画しています。竹の新たな可能性に着目して生まれた商品です。中山社長が「切ったばかりの竹がよく燃えるのを見てその可能性を感じた」ということで、3年がかりで商品化へこぎつけました。竹の皮に含まれる油には殺菌・抗菌作用があり、実験からも病原性大腸菌や黄色ぶどう球菌などの抗菌効果が確認されています。まさに竹の特性を生かした商品です。
中山社長「塗料以外にも竹を使って新しいものを開発していき、健康や環境がよくなっていけば・・・」
竹の町だからこそ生まれた、竹ならではの商品の数々。用途、そして形を変え、テオリの竹商品が今、日本のみならず、世界へ広がり始めています。
中山社長「デザインは無限にあるし、使い方ももっとあるので可能性にチャレンジしていきたい」