倉敷市教育委員会は、藤戸寺と受法寺がそれぞれ保有する「絹本著色仏涅槃図」を倉敷市の重要文化財に指定することを決めました。
仏涅槃図は、臨終の釈迦を囲み、弟子や動物たちが悲しんでいる情景を描いたもので、釈迦入滅の日に行う法要・涅槃会の際に掲げられるものです。
倉敷市藤戸町藤戸の藤戸寺が保有する涅槃図は、中国・宋代の絵画の影響を受けながらも古い形式を取り入れたもので室町時代につくられたと推測されます。
江戸時代以降の涅槃図には見られない、生き生きとした描写です。
倉敷市山地の受法寺の涅槃図も中国・宋代の影響を受けて室町時代につくられたとみられ、人物や自然の、のびやかな表現が親しみやすい時代の嗜好を反映しているといわれています。
また裏面には過去の修理履歴などを記した墨書が張り付けられ、天台宗の拠点として栄えた日差山一帯の様子を垣間見ることができます。
この2点は、平成25年に倉敷市立美術館で開かれた展覧会に展示されたことをきっかけに研究がすすめられ、市内屈指の涅槃図であり、墨書も残る貴重な資料として評価されました。
12月27日に開かれた市の文化財保護審議会が、市の重要文化財に指定するよう教育委員会に答申し、きょう開かれた倉敷市教育委員会会議に諮られ、全会一致で可決されました。
2点の涅槃図は、一週間以内に正式に指定されます。
これで、倉敷市の重要文化財は86件となります。