倉敷市の大原美術館で、財団名の変更や芸術研究所の設立を記念した「異文化」をテーマにした特別展があす(23日)から始まります。
本館で特別展が開かれるのは、およそ18年ぶりです。
今回の特別展では、大原美術館のコレクションの中核を担う近代美術を通して、西洋と日本など異なる文化が与え合った影響を見ていきます。
この展示は、今年4月から美術館の財団名を変更したことや、作品の展示や研究の充実を目指す「大原芸術研究所」を新設したことを記念して企画されました。
企画したのは去年大原美術館の館長に就任した三浦篤館長です。
大原美術館では、これまで主に時系列に作品が並ぶ展示が行われていましたが、この特別展では、テーマごとに作品を集めています。
入り口すぐの展示室は、児島虎次郎の作品が並びます。
虎次郎は、3度ヨーロッパに渡りモネの「睡蓮」など西洋近代絵画を集めたほか、古代エジプトや中国などの文化にも関心を持ち自身の作品に取り入れました。
代表作の1つ「和服を着たベルギーの少女」にも中国の器やヨーロッパのガラスと見られるものが描かれ、虎次郎が影響を受けた複数の文化の融合が色濃く表れています。
また、2階には「労働」や「宗教・信仰」などのテーマごとに西洋絵画と日本近代洋画の関係性を感じる作品を展示しました。
大正時代の画家・中村彝が描いた自画像は、手に持つガイコツや絵画の上の部分のアーチなどからキリスト教の文化を感じることができます。
さらに、その色使いはエルグレコの「受胎告知」に共通すると見られます。
そのほか、日本民藝運動や現代美術の視点からも近代美術の交わりを楽しむことができます。
特別展「異文化は共鳴するのか?大原コレクションでひらく近代への扉」は、あす(4月23日)から9月23日まで大原美術館本館で開かれます。