歴史と文化の薫る倉敷美観地区に、江戸時代の町屋建築が蘇りました。
国指定重要文化財の井上家住宅が、10年にわたる保存修理工事を終え、きょう(19日)から一般公開がはじまりました。
一般公開を前に、井上典彦16代当主をはじめ、関係者およそ30人が出席して神事が執り行われました。
井上家の歴史と関わりが深い阿智神社の新井俊亮宮司が祝詞を唱え、関係者が玉串をささげて、今後の安全を祈りました。
記念式典には、保存修理作業を率いた文化財建造物保存技術協会をはじめ、藤木工務店などの工事関係者に感謝状が贈られました。
また、江戸時代に建てられた住宅が国重要文化財に指定されている同じ倉敷市の大原家、大橋家、野﨑家からもお祝いに駆けつけ、エールを贈りました。
【インタビュー】
旧野﨑家住宅(竜王会館) 野﨑泰彦 さん
大橋家住宅9代当主 大橋紀寛 さん
井上家住宅は、倉敷美観地区に現存する最も古い町屋建築です。
家の間取りは、「古禄」と呼ばれる村の役人・地主だった井上家が、勢いを増していた江戸末期、天保年間の頃に復原しました。
10代当主が鶴を飼っていたとされる雪見灯篭のある坪庭、客間に施された網代織の天井なども再現しています。
また、発掘調査で存在が明らかになった台所のかまども、漆喰塗りにして復活させました。備前焼の水がめも貴重な文化財です。
建物の外には、午後1時のオープンを待つ行列が。
先頭の人は午前9時から並んでいたそうです。
10年ぶりに扉が開かれた井上家住宅。
オープンを記念して4月30日まで、名字が「井上」の人は無料で入館できます。
さっそく多くの井上さんが訪れ、江戸時代の井上家の佇まいを感じていました。
【インタビュー】
井上家16代当主 井上典彦 さん
井上家住宅は、月曜日を除いて午前10時から午後5時まで観覧できます。
入館料は大人500円、小中学生300円です。