持ち主がいなくて適切な管理が行われていない「特定空き家」に認定された建物を行政が代わりに解体するため、倉敷市が「略式代執行」に着手しました。
解体費用を自治体が負担するもので、倉敷市内では初めての事例です。
略式代執行の対象となったのは、倉敷市茶屋町の県道沿いに建つ木造2階建ての住宅1棟です。築70年以上とみられます。
屋根の瓦が落ちそうで、壁も崩れかけています。
玄関の庇は、隣り合う道路に迫るほど下に垂れていて、住民が安心して通行できない状態です。
暮らしていた人は3年前に亡くなり、法定相続人は全員が相続を放棄。
市は去年6月に今後も適切な管理ができないとして、法律に基づく「特定空き家」に認定していました。
号令を受けて作業員は、市道に垂れかかっている玄関の庇の解体から着手しました。
倒壊の恐れもあった建物だったことから、近くに住む人も解体の様子を見守り、今回の略式代執行着手に安どの表情を見せていました。
倉敷市によると、市内には9000軒ほどの空き家が確認されています。
このうち107軒を、所有者がいなくて倒壊の恐れなどがある「特定空き家」と認定しています。(2022年度末時点)
倉敷市が初めて略式代執行により解体する建物は、11月上旬までに取り除く作業を終える予定です。なお、解体にかかる費用
314万円は、行政が負担します。
空き家に関する相談は、倉敷市役所の建築指導課で随時受け付けているということです。