倉敷市の歴史を資料で読み解く解説会が、27日に開かれました。
倉敷市の真備保健福祉会館で開かれた解説会には、約60人が参加しました。
テーマは「描かれた家と町」です。
まずは資料整備室の職員が1677年のものと推定される倉敷の最古の屋敷割絵図を用いて現在の倉敷美観地区にあたる江戸前期の倉敷を説明しました。
絵図や帳面の状況や、本町通の広さが変わらないことなどから、倉敷が戦国時代後半から町場として形成されていた可能性が高いと話し、江戸時代よりも昔から、商人たちが自分でつくった町場が原型にあるという、倉敷の新たな位置づけをまとめました。
続いて、美観地区に現存する最古の町屋建築・井上家住宅の保存修理工事で現場の指揮をとった、文化財建造物保存技術協会の小嶋はるかさんが登壇し、井上家住宅の家相図について建物の修理を通して分かったことを解説します。
解体の際に出てきたものから建物がどういう変遷を辿ってきたか調べていく中で、墨書や箆書に書いてある年代から、井上家住宅が江戸中期の享保から後期の天保年間にかけて増改築を重ねていたことが分かったと伝え、さらに、倉敷の古地図と合わせて敷地の変遷を辿り、家相図の制作年代を推定しました。
また、明治時代の窪屋郡三田村などの建物台帳を事例に、家の広さや構造から読み取れる当時の住人の暮らしぶりが紹介されました。
歴史資料整備室では、平成27年度から所蔵資料の調査報告会を行っていましたが、より多くの市民に歴史を知ってもらう機会にしようと、今回、資料についてわかりやすく解説する「歴史資料解説会」に模様替えして開きました。
会の最後には質疑応答の時間が設けられ、参加者は歴史への理解を深めていました。